GOOGLE|All Is Not Lost|2012|日本
12枚の窓が踊りだす / Google Chrome「All Is Not Lost」
ブラウザの窓が12個に分裂して、それぞれが勝手に動き出して、でも全体として一つの踊りになっていて、さらにその踊りが自分の入力したメッセージを綴っていく。2011年にこれを目の当たりにしたとき、クマは「インターネットってまだこんなことできるんだ」と心底驚いたクマ。
▎背景・課題
2011年、HTML5という新しいウェブ技術が登場しつつあった時代。Googleは、Chrome ブラウザで何ができるのかを示すため、アーティストとのコラボレーションシリーズ「Chrome Experiments」を展開していたクマ。Arcade Fire、Danger Mouse に続く第3弾として白羽の矢が立ったのが、トレッドミルやルーブ・ゴールドバーグ・マシンで世界を驚かせてきたバンド OK Go だったクマ。企画の背景には東日本大震災があり、Google Chrome Japan チームが OK Go に声をかけたのは震災直後。バンドは「All Is Not Lost(すべてが失われたわけじゃない)」という曲のタイトルに希望のメッセージを込め、この技術実験に応じたクマ。
▎ねらい・インサイト
OK Go のリードシンガー Damian Kulash はこう語っているクマ。「20世紀のクリエイティブの境界線なんて、もはや無関係なんだ。レコードなのか、映画なのか、ダンスなのか、コンピュータプログラムなのか、事前に選ぶ必要はない」。つまり、ミュージックビデオは単なる「アルバムの従属的な宣伝素材」じゃなくて、それ自体が独立した体験になりうる、というインサイトクマ。そして Google 側には、HTML5 という新技術を「説明」するんじゃなくて、「体験」として見せたいという狙いがあったクマ。技術デモを、感動に変える。それがこのプロジェクトの核心だったクマ。
▎アイデア
透明な床の下から撮影したダンスを、12個の独立したブラウザウィンドウに分割して、それぞれが画面上で動き回り、サイズを変え、再配置される。OK Go のメンバーと、Pilobolus というモダンダンスカンパニーのダンサーたちが、エメラルドグリーンのユニタードを着て、床の上で人間万華鏡のような形を作っていく。そして最後には、ユーザーが入力したメッセージを、足で綴るクマ。HTML5 の <audio> タグと <video> タグ、Canvas 2D を駆使して、映像と音楽を完璧に同期させ、複数ウィンドウ間の負荷とタイミングを調整したクマ。ユーザーは英語でも日本語でも好きなメッセージを入力でき、それが動画の中で「踊り出される」。監督は OK Go のメンバーの妹でもある Trish Sie。彼女は「これまでで最も困難な撮影だった」と語りつつ、「終わらせたくなかった」とも言っているクマ。3週間の「遊び時間」を設けて、照明・小道具・振り付けを試行錯誤し続けたクマ。
▎展開・成果
2012年カンヌライオンズで、Film 部門 Interactive Film の GOLD、Cyber 部門 Best Video の GOLD、Design 部門 Typography の GOLD を含む、合計5つのライオンを獲得したクマ。さらに2012年グラミー賞 Best Short Form Music Video 部門にもノミネートされたクマ。200以上の国と地域で話題となり、Chrome の利用促進に貢献したとされているクマ。動画は専用サイト allisnotlo.st で公開され、数百万回視聴されたクマ。Nintendo 3DS 向けの3D版も同時リリースされ、ニューヨーク・タイムズ紙には制作舞台裏のフォト特集も掲載されたクマ。
▎余韻
「ダンスベルトのお尻の紐は快適さのためにデザインされてない」と Damian Kulash が語っていたのが妙に印象的だったクマ。そういう些細な苦労も含めて、このプロジェクトは「映画セットは人生で最も満足のいく体験の一つだった」とバンドが語るような、本気の遊びだったんだと思うクマ。広告でもあり、アートでもあり、技術デモでもあり、希望のメッセージでもある。そういう多面性を、12枚の窓に分けて同時に見せてくれた傑作クマ。
▎クレジット
- 広告主
- 代理店
- 博報堂
- 制作
- Pilobolus
- 監督
- Trish Sie
- 音楽
- OK Go
- Other
- Damian Kulash
- 受賞
- Cannes Gold (2012)
▎タグ
▎広告くんが選ぶ関連3本
同じ匂いがするクマ〜


