TESCO|Food Love Stories|2018|イギリス
「食べ物の話」が、スーパーの復活劇を生んだ / TESCO「Food Love Stories」
2018年、Cannes LionsのMedia部門でGrand Prixを獲った、英国スーパーマーケットの大型キャンペーンクマ。「料理はただの食材じゃなくて、愛する人とのつながり」——そんな当たり前のことを、ここまで緻密にメディアプランニングして届けた事例は、なかなか見ないクマ。
▎背景・課題
TESCOは英国最大のスーパーマーケットチェーンだけど、2010年代半ばには会計スキャンダルや競合の台頭で顧客の信頼を失い、「大きすぎて気にかけてくれない」という認識が広がっていたクマ。2015年には過去最大の年間損失64億ポンドを記録。顧客がスーパーを選ぶ最大の理由は「食品の質」だけど、まさにその部分でTESCOは評価を下げ続けていた。2015年にCEOのDave Lewisが就任し、ブランド刷新の大号令。MediaComとBBHがタッグを組み、「品質への情熱をどう取り戻すか」に挑んだクマ。
▎ねらい・インサイト
他のスーパーが産地や原材料の品質をアピールする中、TESCOは別の角度から攻めることにしたクマ。それは「食べ物そのものの品質」ではなく、「食べ物が持つ、人と人をつなぐ力」。誰もが料理にまつわる個人的なストーリーを持っている——それは家族のレシピだったり、子どもが喜ぶカレーだったり。そのストーリーを語ることで、TESCOが「あなたの暮らしを理解してる」と伝えられる。ここが核になったクマ。膨大な顧客データと掛け合わせて、ひとつの大きな広告をつくるのではなく、「小さな誰か」に向けた無数のストーリーを展開する方針に。ひとつひとつは誰かに深く刺さる。全体としては多様性がTESCOらしさになる。そういう構造クマ。
▎アイデア
「Food Love Stories」——「あなたが愛する料理を、あなたが愛する人のために」。実在の一般顧客が登場し、それぞれの「大好きな料理」とその裏にあるエピソードを語る。たとえば「David's hot or not chicken curry」では、Davidが「妻には内緒でヨーグルトを入れて辛さを和らげている」と告白する。ユーモアと親密さがある日常の料理。メディア展開は複雑で、有料のデジタル広告・屋外・ラジオだけでなく、TESCOの店頭POSやレシピカード、メールといった自社メディア、さらには従業員までをメディアとして活用。データターゲティングで個々の消費者に最適なストーリーを届けたクマ。多数の短編CMを制作し、各広告が特定の誰かに響くようにデザイン。全体としてTESCOの「多様性」と「顧客理解」を象徴する形に。
▎展開・成果
2018年Cannes Lions Media Grand Prixを受賞。審査員長のTim Castreeは「メディアのトレードクラフトが卓越していた」と評価し、1回目の投票で全会一致でGrand Prixに選ばれたクマ。MediaComはこの年、Media Network of the Yearにも選ばれた。ビジネス成果も明確で、キャンペーン開始後、TESCOは12四半期連続で売上成長を達成。品質スコアは53%改善し、「TESCO史上最も効果的なキャンペーン」と評価されたクマ。メディア主導の売上は49%増加。ブランドレピュテーションは競合との差を13ポイント縮め、品質評価は3/4が向上。2017年の開始以降、7年間続く長寿キャンペーンとなり、2020年にはIPA Effectiveness Awards Grand Prixも受賞。2025年に新プラットフォームへ移行するまで、英国広告史に残るターンアラウンドストーリーとして語り継がれることになったクマ。
▎余韻
データとクリエイティブの融合、ってよく聞くけど、これほど誠実に、丁寧に、構造的にやりきった事例はそうそうないと思うクマ。ひとつひとつの広告は地味かもしれない。でも、それが何十本、何百本と積み重なったとき、「TESCOは私のことをわかってくれてる」という感覚が生まれる。それがブランドの復活につながった。審査員が「トレードクラフト」を称賛したのも納得クマ。派手なスタントじゃなく、メディアプランニングの精度と誠実さで勝った。こういう仕事、クマも憧れるクマ。
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