THE TIMES OF INDIA|A Day in the Life of Chennai|2009|インド
段ボールの看板が、映画スターから政治家へ。そして crow だけが残った / The Times of India「A Day in the Life of Chennai」
段ボールの等身大看板が、1日で栄光と転落を繰り返すクマ。チェンナイという街を知らなくても、このフィルムを観た瞬間に「この街、ヤバい」と思ったクマ。Cannes で India 初の Film Gold Lion を獲ったのも納得クマ。
▎背景・課題
チェンナイでは映画と政治が「同じキャラクターの二つの顔」であり、少なくとも100人の映画俳優が政治家に転身し、日々政党を乗り換えているクマ。当時の州首相は有名な俳優・脚本家で、野党党首は数十年前のピンナップ女優だったという、日本では想像もつかない状況クマ。新聞の1面は常に政治、最終面は常に映画。The Times of India は 2008年4月にチェンナイ版を創刊し、既存の英字紙との激しい競争に直面していたクマ。この街の369歳の誕生日を祝うタイミングで、JWT はこの「Cinema Cutout Capital of the world(世界の映画看板首都)」の本質を捉えようとしたクマ。
▎ねらい・インサイト
ブリーフは「街での暮らしのインサイトと登場人物たちの二面性の本質を、真実から目を背けずに表現すること」だったクマ。で、JWT が見つけたのは、街中のいたるところにある巨大な段ボール製の看板(cutout)クマ。政治家と映画スターの、街頭に立つ等身大看板の「1日の人生」というアイデア。この看板こそが、チェンナイの二面性を体現するメタファーになると気づいたクマ。Lotus Roots 賞は「地域文化・習慣・伝統を新鮮で刺激的な方法で使い、ターゲット市場とのより強いつながりを築く能力」を評価するものだけど、まさにこの企画はそれクマ。
▎アイデア
映画スターとして昇りつめる様子から、ストリートダンス、熱狂的なファン、ミルク風呂と花のシャワー、寺院、ファンクラブのトラック群、そして「インターバル」でリール(映画)からリアル(現実)へとスムーズに切り替わり、行進や米党の集会、党をホッピングする者の転落、悪役ラーヴァナとして復活するも今度はファンに人形を燃やされ牛糞を浴びせられ、最後は米党の元党首が顔もなく田んぼを守り、カラスだけがファンになっているという、めちゃめちゃ濃密な90秒クマ。フォーク・ナラティブ形式で語られ、俳優が歌手も兼ねていたタミル映画の伝統を踏襲し、音楽監督 Vijay Anthony による2008年の大ヒット曲「Naaka Mukka」の初ミュージックビデオとして公開されたクマ。Naaka Mukka は「舌(Naaka)と鼻(Mukka)」を意味する地元の表現で、チェンナイの味と匂いを舌から鼻へ(またはその逆)捉える言葉らしいクマ。
▎展開・成果
Cannes Lions で India 初の Film Gold Lion と Film Craft Gold Lion、Adfest で Lotus Roots Grand Prix、Yahoo Big Idea Chair Marketing Effectiveness Award 2009を受賞クマ。Asian Film of the Year 2008、Goafest 2009 Gold Campaignも獲ったクマ。90秒のシネマ&TVフィルム、2曲のフルレングス映画音楽、ラジオ&着信音用の3つの Naaka Mukka トラック、10本の「二重役割ドキュメンタリー:映画リールから政治リアルへ」、22の Naaka Mukka ストリートダンスステップ、チェンナイ中の映画館での100の二重役割看板設置、2000以上の Naaka Mukka ビデオレスポンスという、キャンペーン全体の広がりもすごいクマ。この TVC が放映されて以降、Naaka Mukka という表現が主流になったらしいクマ。
▎余韻
段ボールの看板が朝に生まれて夜に死ぬまでを90秒で見せる、というアイデアの強度がヤバすぎるクマ。しかもそれが風刺として成立していて、街の真実を捉えていて、音楽が最高で、ローカル文化へのリスペクトも感じられて、なおかつ新聞ブランドのキャンペーンとして「この街のことを一番わかってる」メッセージになってる。全部入りクマ。クマが特に痺れたのは、最後のシーン。顔のない看板がカラスに囲まれて田んぼを守ってる、あの余韻クマ。栄光も転落も、全部この街の「1日」なんだ、っていう諦観と愛情が混ざった視点が、新聞というメディアの立ち位置そのものだと思ったクマ。Senthil Kumar、天才クマ。
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